学校法人追手門学院事件(大阪地判令2・3・25) “懲戒解雇は無効”と訴えられた大学が普通解雇 直ちに解雇処分は重過ぎる
2021.03.18
【判決日:2020.03.25】
大学のセクハラ対応をめぐり、学外に情報を漏えいしたとして、名誉毀損などで懲戒解雇された教授らが地位確認を求めた。その後、大学は予備的に普通解雇した。大阪地裁は、30年以上処分歴がなく懲戒解雇を無効としたうえで、著しい勤務不良など普通解雇事由は認められず、減給など将来を戒めずに行われた解雇を重過ぎるとした。「時機に後れた」普通解雇との主張は斥けている。
減給など段階経て懲戒歴もなかった
筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)
事案の概要
被告は、大学教授であった原告両名を平成27年10月付で、職務上知り得た秘密を漏洩したことなどを理由として懲戒解雇した。原告らは、同年12月、懲戒解雇は無効と主張して、労働契約上の権利を有する地位の確認などを求める訴訟を提起した。平成31年3月、被告は、訴訟において準備書面により、予備的に、普通解雇事由の「懲戒解雇事由に該当する事実があると認められたとき」に該当するとして、原告らを普通解雇した。
判決のポイント
原告X1が昭和50年に本件大学の助手に採用されて以降、約40年間にわたって本件大学の教員として勤務し、この間特段の懲戒処分を受けたこともなかった事情を踏まえると、…
この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら
令和3年3月22日第3298号14面 掲載