大阪府精神薄弱者コロニー事業団事件(大阪地堺支部判平7・7・12) 定年を63歳から60歳に引下げるのは 合理性なく変更は無効に
1995.10.30
【判決日:1995.07.12】
一方的で不利益への代償措置もない
筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)
事案の概要
事業団においては、昭和44年4月1日の設立当初から昭和48年3月31日までは満60歳定年制であったが、同年4月1日からは満63歳定年制となっていた。
事業団は、職員就業規則の一部を改正して、定年による退職の時期を60歳に達した日以後の最初の3月31日とし、また、職員給与規則の一部を改正して、年齢が58歳に達した日の属する会計年度の末日を超えて在職する職員は昇給しないとし、これらを平成2年3月31日から実施した。
事業団の職員である原告らは、右就業規則改正及び右給与規則改正の無効確認を求めて提訴した。
判決のポイント
本件改正規則は、就業規則の不利益変更であることが明らかであるところ、労働条件を定型的に定めた就業規則は、一種の社会的規範としての性質を有するだけでなく、それが合理的な労働条件を定めているものである限り、事実たる慣習によって法規範性を認めることができる。そして、使用者において新たな就業規則の作成又は変更によって、労働者の権利を奪い、労働者に不利益な労働条件を一方的に課することは、原則として許されないと解すべきであるが、…
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平成7年10月30日第2078号10面 掲載