オリエンタルモーター事件(最判平7・9・8) 組合加入状況調査は不当労働行為か 一般的には支配介入ではない ★
36協定締結のため必要性をみとめる
筆者:弁護士 中町 誠(経営法曹会議)
事案の概要
X会社は、精密小型モーターの製造、販売会社で、従業員数は約970名である。Y組合は、昭和49年12月に結成された労働組合である。結成当時、労使間で多数の対立、紛争が生じ、初審千葉地労委は、13の事実にX会社の不当労働行為を認定した。X会社が、中労委に再審査申立したところ、中労委は、13の事実のうち4の事実(統一交渉団の入構拒否、組合旗の撤去、組合備品の撤去、昭和51年夏期一時金の受領書配付の存否)について不当労働行為を否定したものの、残りの9の事実に不当労働行為を認め、救済命令を発した。そこで、X会社が東京地裁に対し取消訴訟を提起した。東京地裁は9の事実のうち6の事実(組合事務所の不貸与、組合加入状況の調査、会社食堂利用の拒否、新入社員教育における外部講師発言、X役員の仲人をめぐる言動、昭和51年賃上げの際の受領書の配付)について不当労働行為の成立を否定し、3の事実(就業時間中の組合活動の件の団交拒否、人事異動の件の団交拒否、昭和50年年末一時金の際の念書配付)についてのみ不当労働行為を肯定した。X会社、中労委双方敗訴部分について東京高裁に控訴した。東京高裁は、2の事実(組合加入状況の調査、会社食堂使用の拒否)について東京地裁の判断を変更し不当労働行為を肯定した他は、東京地裁の判断を支持した。そこで、X会社、中労委双方最高裁に上告に及んだものである。
判決のポイント
一、食堂使用の拒否
使用者が、組合集会等のための企業施設の利用を労働組合又はその組合員に許諾するかどうかは、原則として、…
この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら