新光美術事件(大阪地労委命令平7・7・18) 食堂のビラ、正門門扉の組合旗を撤去 正当な施設管理権の行使 ★

1995.12.18 【判決日:1995.07.18】
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警告、撤去請求は支配介入ではない

筆者:弁護士 加茂 善仁(経営法曹会議)

事案の概要

 X組合は、平成4年春闘回答に不満であるとして、Y会社の食堂で抗議集会を行い、食堂壁面に組合ビラ44枚を貼付した。これに対し、Y会社は、内容証明郵便で食堂壁面へのビラ貼付は会社の施設管理権を侵害するものであるので直ちに撤去するよう申し入れた。しかし、X組合はこれに応じなかった。

 そこでY会社は、X組合に対し、撤去しない場合、会社が撤去する旨、文書で警告し、Y会社は全ての組合ビラを撤去し、翌日、X組合に対し「組合ビラを撤去・保管しているので速やかに受け取られたい。なお、引渡しに際しては、再びこのようなことをしない旨を書き加えた組合発行の受領書を持参の上来られたい」旨を文書で通知した。

 ところが、X組合は、ビラ撤去について抗議し、直ちに返還するように求めた。さらにX組合は、指名ストライキを行い、組合旗をY会社正門の門扉に掲揚するとともに、食堂壁面に組合ビラ32枚を貼付した。これに対しY会社は、文書で「組合旗の正門門扉の掲揚等は、会社の施設管理権を侵し、社業を妨害する重大な暴挙であり容認することはできない。直ちに掲示物を撤去するよう要求する。撤去しない場合、会社が撤去することがある」旨警告し、翌日付内容証明郵便で直ちに組合旗を撤去するよう要求、撤去しない場合、会社が撤去する旨、警告したが、X組合はこれに応じなかった。そこでY会社は、正門の組合旗と全ての組合ビラを撤去し、X組合に対し前回同旨の文書を手交した。

 X組合はこれに応ぜず、Y会社の組合旗及びビラの撤去を不当労働行為であるとして、①撤去した組合旗及び組合ビラを返還すること、②ポストノーティスを求め、救済申立をなした。申立棄却。

命令のポイント

 ①Y会社は、X組合に対し、…

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平成7年12月18日第2085号10面 掲載
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