ハンプテイ商会ほか1社事件(東京地判令2・6・11) システム開発で偽装請負、発注者と雇用関係!? 派遣法適用免れる目的否定
システム開発会社から業務を再委託された技術者が、発注者とは偽装請負の関係にあるとして、派遣法に基づき労働契約が成立すると訴えた。東京地裁は、発注者(派遣先)は過去に労働局などから指導を受けたこともなく、派遣法の適用を「免れる目的」があったと認めるにはムリがあるとした。業務委託の発注権限を有する現場担当者が、法の免脱目的があったと認識しているかを判断している。
担当者の認識確認 局から指導もなく
筆者:弁護士 石井 妙子(経営法曹会議)
事案の概要
Y1はY2から、システムのパッケージソフトをカスタマイズする開発業務を請け負い、Xに再委託するという形で、Xとの間で「ソフトウェア基本契約書」を締結し、XはY2の事業所で業務に従事していた。Xは、Y1とXの契約の実態は、Y1がXを雇用し、その雇用関係の下に、Y2の指揮命令を受けて、Y2のために労働に従事させる労働者派遣契約である等と主張して、①Y1に対して、賃金等の支払い、②Y2に対しては、本件は偽装請負に該当するとして、派遣法40条の6第1項5号により直接の労働契約が成立したと主張して、①と同額の支払い(①②は単純併合、不真正連帯債務)、③Yらに対し、違法な解雇による不法行為に基づき慰謝料200万円等の支払いを求めて提訴した。
争点は多岐にわたるが、ここではXとY2の間の直接雇用の成否について取り上げる。なお、Y1による契約解除(解雇)は無効とされ、賃金請求と慰謝料(8万円)等が認容されている。
判決のポイント
1 XとY1の間の契約関係
実質的に使用従属関係にある…といえるかは、…
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