長崎市立病院機構事件(長崎地判令元・5・27) 医師の勉強会や文献調査した時間に残業代請求 自己研さんの一部は“労働”

2021.06.03 【判決日:2019.05.27】
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 亡くなった医師の遺族が、勉強会や文献調査などの時間に割増賃金等を求めた。長崎地裁は、個々の業務との関連性を検討したうえで判断。勉強会の講義や準備時間を労働時間とした一方で、疾患や治療方法の文献調査(自己研さん)のうち、担当患者に関する調査は労働時間、それ以外の専門分野は労働時間に該当しないとしている。客観的な記録がなく病院の滞在時間の9割を労働時間と推認した。

業務関連性がカギ 記録なく時間推認

筆者:弁護士 緒方 彰人(経営法曹会議)

事案の概要

 被告は被告病院を開設する地方独立行政法人、Hは平成26年4月1日~同年12月18日まで被告病院の心臓血管内科で勤務していた医師であり、同月18日、内因性心臓死により死亡した。原告らはHの相続人らである。

 Hは、被告病院にて、通常の診療業務、当直業務、拘束業務(夜間および休日の緊急治療に備え要請に応じて来院できるように備えておくもの)のほか、派遣講師業務、学会への参加、看護師勉強会などへの参加(講師や発表を担当)、抄読会への参加、文献の調査などを行っていたところ、所定労働時間外に被告病院に滞在していた時間は9カ月間で合計1681時間を超えていた。心臓血管内科では、医師らに対し時間外労働を行った場合には、自己申請するよう指導し、被告病院は各医師からの申請に基づき割増賃金を支払っていたが、同内科医らの滞在時間数や、診療行為に従事している時間数を客観的には把握していなかった。

 原告らは、Hの死亡後、被告に対し、①時間外労働の未払賃金の支払いを求めるとともに、②安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求を行った。

判決のポイント

 ① Hが被告病院に滞在していた時間を認定した上で…労働時間とは認められない可能性がある部分を控除する方法によりHの労働時間につき検討する。

 ② 救急患者が来院するなどした場合には…

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令和3年6月14日第3308号14面 掲載
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