ハマキョウレックス無期転換事件(大阪地判令2・11・25) 無期転換後の労働条件も“格差あり”と損賠請求 契約社員就業規則に合理性 ★
無期転換した運転者が、正社員就業規則の適用があるとして差額賃金等を求めた。有期契約の当時に、正社員との手当の相違を不合理とした最高裁判決後の事案。大阪地裁は、無期転換後も引き続き職務内容等に相違があるが、正社員と労働条件の均衡が保たれている限り、契約社員就業規則は労契法7条の合理性を満たすと判断。労組との交渉や雇用契約書で同規則の適用に合意していた。
正社員と均衡保つ 契約書で適用合意
筆者:弁護士 石井 妙子(経営法曹会議)
事案の概要
X1、X2は、Yに雇用されるトラック運転者であり、労働契約法(以下「労契法」)18条1項に基づき無期転換した者であるが、無期転換後の労働条件は正社員に適用される就業規則によるべきであると主張して、正社員就業規則に基づく権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、労働契約に基づく賃金請求権または不法行為に基づく損害賠償請求権として、正社員との賃金差額およびこれに対する遅延損害金の支払を求めて提訴した。
なお、X1は、有期契約であった当時、無事故手当、作業手当等の諸手当、賞与、定期昇給および退職金の支給について正社員との相違は労契法20条違反であると主張して訴訟を提起し、最高裁は、無事故手当、作業手当、給食手当および平成25年12月に改定される以前の通勤手当並びに皆勤手当の支給の相違について同条に違反するとした(最二小判平30・6・1)。Yは最判および差戻し審を受けて、平成30年10月1日以降、無事故手当、作業手当および食事手当の合計2万3500円を月間所定時間169時間で除して時給換算した140円を、同年12月1日以降、さらに60円を処遇改善費としてXらの賃金に組み入れている。Xらの無期転換は同年10月1日であった。
判決のポイント
1 本案前の答弁について
(Yは、本件は前訴の蒸し返しであると主張して却下を求めるが)本件訴訟は、前訴とは争点を異にする…から、…類似の趣旨のものがあったとしても、…実質的な蒸し返しに当たるということはでき(ず)、…主張は採用できない。
2 正社員就業規則による旨の合意の有無
労働組合との交渉において、Yは、…
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