恩賜財団母子愛育会事件(東京高判令元・12・24) 管理監督者でなく割増を、管理職手当は返還!? 付加金命じた部分取り消す
割増賃金の支払いを求められた病院が、管理職手当の受給資格がないと返還を求めた。手当返還に関して争った東京高裁も病院の不当利得返還請求は理由があるとしたうえで、一審で付加金を命じた部分を取り消した。一審後に病院は管理監督者でないことを認めて割増賃金の一部を弁済し、受領を拒絶された部分を供託していた。円満解決を図るため医師と交渉の機会を持ったことも考慮した。
一審後に弁済供託 円満解決図ったが
筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)
事案の概要
一審原告は、平成17年4月1日に一審被告財団に入職した医師であり、平成26年4月以降新生児科医長として勤務し、未払割増賃金4392万余円、未払管理職手当90万円、労基法114条の付加金等を請求し、一審被告は、反訴として、原告に受給資格のない管理職手当を過誤払いしたと主張して、不当利得返還請求として157万余円等を請求した。
一審(東京地判平31・2・8、本紙3240号)は、原告の未払割増賃金請求2463万余円、付加金請求1806万余円等を認容し、他方、被告の反訴請求を認容し、これに対し双方が控訴した。
一審判決後、被告は、原判決が認容した未払割増賃金等を任意に弁済し、医師手当が固定残業手当に当たらないとした場合の未払割増賃金1188万余円等を供託した。
判決のポイント
当裁判所は、一審原告の未払割増賃金請求は7万3498円及び…遅延損害金の支払を求める限度で理由があり、未払管理職手当及び付加金請求は理由がなく、他方、一審被告の不当利得返還請求は理由があると判断する。
管理職手当支給細則を上位の規定である本件給与規則の趣旨に合致するように解釈すれば、…
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