野村不動産アーバンネット事件(東京地判令2・2・27) 営業の歩合廃止して固定給増額、不利益変更か 賃金1割減でも合理性あり
2021.07.15
【判決日:2020.02.27】
不動産売買等の手数料に連動する営業成績給の廃止は不利益変更で無効として、営業マンが支払いを求めた。会社は、賃金の総原資は減少させず月例賃金に振り分けるとしていた。東京地裁は、廃止から半年間の原告の賃金総額は1割以上減り不利益の程度は小さくないが、役割次第で増額し不利益は固定されないと判断。従業員の定着率を上げるため、安定的な給与制度としたものと合理性を認めた。
出来高偏重を是正 減額目的ではない
筆者:弁護士 岡芹 健夫(経営法曹会議)
事案の概要
Xは訴外A社に雇用されている有期労働契約社員であったが、A社がY社に営業譲渡したことに伴いY社に転籍し、平成13年10月1日付で、Y社との間で無期労働契約を締結した。
Y社は、不動産の売買、販売代理業務等を目的とする株式会社である。
平成24年頃、Y社は事業規模の拡大のため、営業の従業員を増員することとし、これに伴い、統一的な人事制度を構築することとした。Y社は、新人事制度の導入に際し、従業員の定着率を上げるため、給与体系の改定を行い、Xが属していた営業職Aについて採用されていた出来高払いの営業成績給については、廃止することとした。
平成29年4月、Y社は、以下の概要の新たな人事制度を導入した。…
この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら
ジャンル:
令和3年7月26日第3314号14面 掲載