東京都医師会事件(東京地判平26・7・17) 不適切な言動で3カ月停職、管理職からも外したが 人事権行使した降格は有効
内科医長が、運営方針に従わなかったり検査室の私物化を理由に3カ月停職となり、処分から1カ月後に人事上の措置として降任降格とされたのは、合理的理由を欠き無効と訴えた。東京地裁は、非違行為は軽微な態様とはいえないが患者に影響はなく、就業規則上の最長期間の停職は重すぎるため無効だが、管理職の適格性を欠き降任降格は人事権濫用と認められず有効とした。
懲戒は重すぎ無効 規定上の最長期間
筆者:弁護士 中町 誠(経営法曹会議)
事案の概要
原告は、被告が管理・運営する病院の診療部に勤務する内科の医師であり、3カ月間の停職の懲戒処分を受け、その1カ月後に、人事上の措置として医長から医員へと降任され、それに伴って降格された。
原告は、これらが無効であるとともに、原告に対する不法行為に当たるとして、被告に対して、(1)医長として勤務し、上記降格前の給与を受ける雇用契約上の地位の確認、(2)上記降格前の賃金額と実際に支払われた賃金額との差額およびこれに対する遅延損害金の支払い、(3)停職期間中に支払われるべき賃金およびこれに対する遅延損害金の支払い、(4)慰謝料300万円およびこれに対する遅延損害金の支払いをそれぞれ求めた事案である。
判決のポイント
1、本件懲戒処分の理由となるべき原告の非違行為の態様は、管理職でありながら、本件病院の方針や院長の指示に従おうとせず、また、本件病院の方針の推進や検査業務に支障を生じさせ、さらに、十分な根拠なしに公然と、薬剤検査科長がパワーハラスメント行為を行ったかのような発言をして、これを誹謗中傷するなどしたというものであり、決して軽微なものではない。…
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