トヨタ自動車事件(名古屋地裁岡崎支判令3・2・24) 期間工が労働組合から脱退、ユ・シ制で雇止め 他労組に加入したと認めず
労働組合を脱退し、ユニオン・ショップ制により雇止めされた期間工が、他労組に加入済みだった等としてユ・シ制の効力を争い、賃金等を求めた。裁判所は、他労組に加入した事実は認められず、事実なら会社へ告知が必要だったと判断。脱退は組合費の負担を嫌ったものであり、契約更新の希望は失業給付を長期化させるためだった等として、契約終了を自ら意図していたと認めている。
会社へ告知求める 更新期待なかった
筆者:弁護士 石井 妙子(経営法曹会議)
事案の概要
Y社は、B労働組合との間で、ユニオン・ショップ協定を締結し「社員、準社員、スキルド・パートナー、シニア期間従業員及びパートタイマーのうち、組合に加入しない者、組合から脱退した者、並びに組合から除名された者については解雇する。ただし、Y社が不適当と認めた場合は、その取扱いについてY社は、組合と協議の上、決定する」としていた。
Y社にはB労働組合の他にも労働組合があり、他の労働組合に加入した旨の通知があった場合には、ユニオン・ショップ制(以下「ユ・シ制」)による解雇の対象とはしていない。
Xは、Y社と有期契約を締結し、シニア期間従業員(契約期間2年以降の期間従業員)として雇用されていた。契約期間は最長2年11カ月とされていたが、XがB組合を脱退したところ、XがC組合に加入し、更新を希望していたにもかかわらず約2年6か月の時点で雇止めされたとし、Xはユ・シ制の効力を争い、雇用契約に基づく賃金請求、満了慰労金および満了報奨金支払いの請求、不法行為に基づく慰謝料100万円を請求して提訴した。…
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