ヴイテックプロダクト事件(名古屋高判平26・9・25) 従前の勤務態度が悪いと休職者の復職要求拒みクビ 労組との合意に反して無効
勤務態度を理由とした退職勧奨を拒否後、うつ病休職していた者が、復職を求めたが態度に改善がみられないとして解雇された事案。名古屋高裁は、医師の就労可能の診断書があれば無条件で復職を認めるとする会社とユニオンとの覚書に反するほか、譴責や減給、出勤停止など段階的処分もなく解雇は社会的相当性を欠くとした。会社主張の経営危機を裏付ける証拠もない。
条件は診断書提出 解雇理由にならず
筆者:弁護士 山田 靖典(経営法曹会議)
事案の概要
Xは、平成15年9月25日、工業用プラスチック製品製造業のY社に入社したが、21年9月頃、うつ状態(適応障害)との診断を受けた。
平成23年3月25日、当時の社長より業務態度等が改善されないとして退職勧奨を受けた。しかし、拒否して同月28日から同年4月27日まで欠勤し、27日に加入していた名古屋ふれあいユニオンとY社との団体交渉に同席した。同ユニオンとY社とが「Xは復職に当たっては就労可能を証する診断書を提出し、その際Y社は、従来の労働条件どおりでXを元の職場に就労させる」ことを骨子とする覚書に調印したとき、Xも末尾に組合員として署名、押印して、翌28日からうつ病休職した。
同年8月、Y社の前身の企業の全役員が辞任し、大口取引先に全株式が譲渡され、その代表取締役B(前社長B)がY社社長に就任した。
平成24年9月28日、XはY社に対し、医師の診断書を添えて復職願を提出したが、同年10月4日、解雇された。
そこで、Xは解雇無効確認の訴えを提起し、一審判決(名古屋地裁岡崎支判平26・3・27)は、解雇を無効とした。Y社が控訴。…
この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら