パナソニック(旧PEDJ)ほか1社事件(名古屋高裁金沢支判平25・5・22) 3年の派遣期間制限に違反した「先」に正社員化要求 黙示的にも労働契約不成立
派遣労働者が、3年を超えて派遣を受け入れた派遣先からの有期雇用の申込みを拒否し、期間を定めない労働契約上の地位確認等を求めた。名古屋高裁金沢支部は、法は「先」に労働契約締結の申込みを促すに止まり、期間制限違反を知りながら受け入れても労働契約は成立しないと判断。「元」が賃金支払等の労務管理を担い、黙示的にも労働契約は成立していないとした。
労務管理は「元」で 本人が有期を拒否
筆者:弁護士 山田 靖典(経営法曹会議)
事案の概要
Xは、製造業務請負・人材派遣等を業とするK社と平成17年1月、3カ月の有期労働契約を締結し、18年11月には、派遣労働者として就労する内容の労働契約を締結、更新した。
Y社は、平成11年8月、K社と業務請負契約を締結し、18年11月には、6カ月の労働者派遣契約を締結、更新した。なお、Y社とK社は、株式保有等の資本面、役員の派遣等の人事面の関連がなく、独立した株式会社である。
福井労働局長よりY社、K社に対し、平成20年12月、派遣法35条の2第1項(派遣可能期間)違反などがあるとして、K社は派遣を、Y社は派遣受入れを中止するよう是正指導があった。
Y社はXら派遣労働者に対し、3カ月単位の契約期間(最大2年11カ月)、賞与・退職金なし等を内容とする労働契約を締結すること、Y社のグループ企業のP社と有期契約の労働契約を締結できることを説明し、Y社、P社は説明会から1週間以内に意思表示をするように求めたが、Xはいずれも希望しなかった。K社はXに対し、平成21年3月31日をもってY社との派遣契約が終了するから、①希望退職に応ずる、②K社で仕事を続ける、③P社での就労を希望するかを尋ねた。…
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