京都大学事件(京都地判平27・5・7) 国立大職員の給与減額、1年半の時限措置で効力は 国から要請あり必要性認容
国立大学の教職員115人が、約1年半の時限的な給与減額は無効と提訴。京都地裁は、国家公務員の給与減額を契機として、国から役職員の給与減額要請があり、それに併せて実施したもので高度の必要性を認容。他大学よりも低い減額率で、労組と交渉を繰り返すなど給与規程変更を合理的とした。労契法10条により規程変更に合意していない者に対しても拘束力は及ぶ。
他の大学より優遇 同意なくても拘束
筆者:弁護士 渡部 邦昭(経営法曹会議)
事案の概要
国立大学法人京都大学(以下、京都大学法人という)が、「国立大学法人京都大学教職員の給与の臨時特例に関する規程」を制定、その後、改正して、「国立大学法人京都大学教職員の給与の臨時特例に関する規程」(以下、本件特例規程)を制定し、平成24年8月から平成26年3月までの間、教職員らの給与を一定の割合で減額したことについて、教職員である甲ら(同意した1人を含め115人)が本件特例規程の無効を主張して、本件訴えを提起したものである。
本件の争点は、①甲らが本件特例規程に同意していたか。②京都大学法人が本件特例規程を教職員に周知させていたか。③本件特例規程による給与規程の変更(給与減額)に合理性が認められ、労働契約法10条に基づき有効と認められるかの3点である。本判決はおよそ以下のように判示して、①については、甲らの主張を認めたものの、②および③については否定したうえで、甲らの請求をすべて斥けた。
判決のポイント
甲らが本件減額支給措置に対して特段の異議を述べず、減額された給与を受領していたという事実が存するとしても、このことのみをもって、同人らが本件特例規程につき合意していたと認めることはできない。…
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