西日本鉄道(B営業所)事件(福岡高判平27・1・15) バス運転士として採用、勤務不良理由に職種変更? 自由意思に基づく同意あり
バス運転士が、職種限定で採用され、清掃業務等への職種変更は無効として退職後に賃金等を求めた。一審は、解雇事由があり現職に留まるのは困難なことから変更に同意したものと判断。福岡高裁は、解雇事由の有無にかかわらず同意することもあるとしたうえで、苦情や事故件数から乗務は困難で、面談で自ら変更を希望したことに照らし、自由意思による同意とした。
事故多く継続困難 第三者交えて面談
筆者:弁護士 山田 靖典(経営法曹会議)
事案の概要
Xは、平成9年、大手私鉄のY社に自動車運転士兼車掌として入社し、バス乗務員として就労していたが、平成12年6月、正社員としてバス運転士に職種限定をした雇用契約を締結し、A自動車営業所に配属された。
Xは、平成23年3月17日、バス運行中バス停において、中ドアから降車したいとの女性客の申出で中ドアを開けたが、その女性の立ち位置など、車内の安全確認が不十分だったため、その女性の左足をドアで挟む傷害事故を起こした。
Y社は、Xがそれまでに苦情を13件受け、責任事故6件、径路逸脱運転2件を起こしていたので、同日の事故後、Xに対して、A営業所での所内教育を行ったが、指導を継続しても改善が期待できないと判断して、同年8月20日、自動車事業本部営業部F営業所付とする辞令を出し、Xは、清掃業務に従事することとなった。
Xは、平成25年9月1日、Y社を退職したが、バス運転士以外の職種への変更は無効であると主張し、賃金、退職金の差額等を請求して控訴した。
一審の福岡地判(平26・5・30)は、Xの請求を棄却したので、Xが控訴した。…
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