国・中労委(JR西日本)事件(東京地判平26・8・25) 無許可のビラ配布で訓告、不当労働行為の判断は? 企業秩序著しく乱すおそれ ★
労組の副執行委員長による無許可のビラ配布に訓告処分をしたところ、労組が不当労働行為として救済を申し立てた事案。中労委が申立てを一部認めたため、会社が処分取消しを求めた。東京地裁は、ビラの内容は他の労組を激烈に批判し抗議を生じる結果を招くなど、企業秩序の乱れは著しくなるおそれがあり、正当な組合活動とはいえないとして、中労委命令を取り消した。
他組合から抗議も 中労委命令を覆す
筆者:弁護士 中町 誠(経営法曹会議)
事案の概要
国鉄西日本動力車労働組合は、西日本旅客鉄道株式会社が、組合副執行委員長のAに対し、同人が、平成21年9月5日、同年10月19日および同月21日、会社施設内において、会社の許可を得ないまま、ビラを配布したことを理由として、同年11月5日付で訓告に付したこと等(他の申立てが複数存するが紙面の関係上省略する)を労働組合法7条所定の不当労働行為として岡山県労働委員会に対し、救済を申し立てた。
これに対し、岡山県労委が、本件訓告は、労組法7条1号の不当労働行為に該当すると判断したため、会社が中央労働委員会に対し、再審査を申し立てた。
中労委は、本件訓告は、労組法7条1号の不当労働行為に当たるとして、文書の手交を命じた。そこで、会社および組合が、各不服部分の、それぞれその取消しを求めた事案である。
判決のポイント
1、Aは、平成21年9月5日、同年10月19日及び同月21日、岡山駅2階営業事務室内個人用小ロッカー前通路ほか2か所において、会社の許可なく…3種類のビラを他の社員に配布したものであるところ、会社において、許可なく会社施設内でビラの配布等をしてはならず、組合活動を行ってはならない旨の就業規則の規定が…あり、…本件ビラ配布は、…
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