落合事件(東京地判平27・9・18) 外回り営業マンが割増請求、事業場外労働の判断は 時間把握できみなし認めず
事業場外みなし制で働いた外回り営業マンが、出退勤時刻の把握は可能などとして退職後に割増賃金等を求めた。一審は請求を一部認容し、双方が控訴した。東京地裁は、直行直帰が許されていないこと、事前の営業予定表や事後の日報で訪問先など業務内容を把握できることから指揮命令を及ぼすことは可能で、労働時間を算定し難いとはいえずみなし制の適用はないとした。
予定表や日報提出 「直行直帰」は不可
筆者:弁護士 中町 誠(経営法曹会議)
事案の概要
本件は、電動要品、油空圧機器、モーター周辺機器の輸出入および国内卸売業を営む控訴人の従業員(被控訴人)が、雇用契約に基づく平成24年4月1日から平成26年1月14日までの時間外労働に係る未払賃金(時間外手当)83万7253円およびこれに対する付加金および遅延損害金の支払いを求めたところ、原審が一部認容判決をしたことから、控訴人が控訴し、被控訴人が附帯控訴した事案である。主たる争点は、本件外回り営業が労基法38条の2の事業場外みなしに該当するか否かである。
判決のポイント
事業場外におけるみなし労働時間制の趣旨は、事業場外で労働する場合に、使用者の具体的な指揮監督が及ばず、労働時間の算定が困難な業務が増加していることに対応し、当該業務における労働時間の算定が適切に行われるようにすることにある。事業場外において業務に従事する場合においても、その従事する業務は多様であるから、事業場外において従事する業務が「労働時間を算定し難いとき」に該当するか否かは、業務の性質、内容やその遂行の態様、状況等、使用者と事業場外の業務に従事する労働者との間の業務に関する指示及び報告の方法、内容やその実施の態様、状況等を踏まえ、使用者の具体的な指揮監督が及ばず労働時間を算定することが困難といえるかによって判断すべきであり、…
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