穂波事件(岐阜地判平27・10・22) 店長が割増請求、時間外見合いの手当支給で合意? 83時間の固定残業代は無効

2016.06.06 【判決日:2015.10.22】
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 飲食店店長が労基法の管理監督者ではないとして割増賃金を求めた。月83時間相当の固定残業代10万円を手当で支給する旨記載した書面に署名押印があるが、岐阜地裁は、経営者と一体的立場とはいえず名ばかり管理職としたうえで、限度である45時間の2倍近いことから公序良俗に反し、合意を無効と判断。手当は残業対価とはいえず割増計算基礎に算入すべきとした。

限度時間2倍弱で 管理監督者性なし

筆者:弁護士 山田 靖典(経営法曹会議)

事案の概要

 Xは、平成20年7月、和食などの飲食店を約100店舗経営するY社に入社し、21年7月、ジュニア店長、24年7月、店長の役職に就いた。Y社の月例賃金は、基本給、積立手当、役職手当(Xは、24年8月まで6500円、9月から8000円)、管理者手当(同年1月から「管理固定残業」に名称変更)、報奨金(各店舗が売上高等の目標達成の場合に支給)、能率手当(同年1月から「能率(残業)」に名称変更)、通勤手当から成る。

 Y社は、Xが管理職であるとして時間外・休日・深夜労働の割増賃金を支給しなかった。

 Xは、Y社に平成23年9月分から24年9月分までの割増賃金として合計282万1547円等の支払いを求めて提訴した。

判決のポイント

 就業規則上は、管理職手当として、「各役職(店長、部長等)に応じて支給する」と規定されており、Xの給与明細上は、平成23年12月分までは、「管理者手当」、24年1月分からは「管理固定残業」として、毎月10万円が支給されていた。…

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平成28年6月6日第3067号14面 掲載
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