アールエス興業事件(横浜地裁川崎支判平27・9・30) 勤務日選択できる「フリーシフト制」で年休権なし? 6年半以上中断もなく継続
労使で合意した日のみ就労する「フリーシフト制」の労働者が、退職までの3年間に60日の年休を取得したとして未払賃金を求めた。年休権成立に必要な継続勤務したかが争われた。横浜地裁川崎支部は、6年半以上中断なく継続したと推認。期間を定めない契約で、会社が勤務日を指定しなければ免除する特質を有するとした。8割以上出勤した1年分のみ請求を認容。
期間定めない契約 8割出勤1年だけ
筆者:弁護士 岩本 充史
事案の概要
本件は、Yを雇用主として雇用契約を締結したXが、Yに対し、平成23年9月18日に20日、平成24年9月18日に20日、平成25年9月18日に20日の合計60日の年休を取得し、その時季指定権を行使したとして、労基法39条に基づき未払賃金60万円のほか、未払残業代等や「賃金の支払の確保等に関する法律」に基づき年14.6%の遅延利息等の支払いを求めた。
これに対して、Yは、本件雇用契約は、契約期間の定めなく、従業員は労使間で別途具体的に合意した日のみ就労義務を負う「フリーシフト制」の約定であり、年休権が成立する前提である勤務継続の要件を満たしていないと主張した。
本件の争点は多岐にわたるが、本稿では①と②について裁判所の判断を紹介する。
①XY間の雇用契約は、以下の(1)から(4)までの労働条件による期間の定めのない雇用契約か。
(1)所定労働時間 1日6時間
(2)基本給 1現場当たり1万円を支給し、1日に2現場を担当した場合は2万円を支給する。…
この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら