A農協事件(東京高判平27・6・24) 春と秋に3カ月雇用、約16年間継続し雇止め無効に 空白長く更新期待を認めず
春と秋に約3カ月働く季節労働者を雇止めした事案。約16年間反復継続され労契法19条2号を類推適用して更新の合理的期待を認めた一審に対し、東京高裁は、各契約の空白期間は契約期間と同程度に及び、継続されると評価できないと判断。従前の契約を更新したとみなすには、労働者が期間満了後遅滞なく契約を申し込むことを要件とした同条の趣旨に反するとした。
“申込み要件”欠く 法の類推適用なし
筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)
事案の概要
控訴人(一審被告)は、長野県の農業協同組合である。被控訴人(一審原告)は、平成8年5月から平成24年6月まで、32回にわたり、おおむね3月下旬から6月下旬まで(春期)と、9月下旬から11月下旬まで(秋期)、控訴人と労働契約を締結して、春期は育苗業務、秋期は米の出荷業務等に従事した。平成24年9月、被控訴人は、控訴人に対し、同年秋期の就労を申し込んだが、控訴人は、労働契約を締結しない旨を通告した。
被控訴人は、労働契約が更新されることに対する期待には合理的な理由があり、再契約拒否が不当な更新拒絶であって、労働契約法19条の適用により、控訴人は就労申込みを承諾したものとみなされ、労働契約関係が発生したなどと主張して、労働契約上の地位確認を求めるとともに、未払賃金等を請求した。
長野地裁松本支判(平26・12・24)は、被控訴人の地位確認請求等を認容した。これに対し控訴人が控訴し、被控訴人が附帯控訴した。…
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