アンシス・ジャパン事件(東京地判平27・3・27) 二人体制で人間関係悪化、調整怠ったと会社訴える 心身の健康配慮義務に違反

2016.09.26 【判決日:2015.03.27】
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 「二人体制」の部署でリーダーを務める従業員が、人間関係の悪化などから業務遂行は困難で、会社は職場環境を整える義務を怠ったとして損害賠償等を求めた。東京地裁は、指揮監督権を有する部長が心身の健康を損なわないよう注意する義務を負うと判断。同僚から事実でないパワハラで訴えられるなど強い心理的負荷が認められ、配転や負担軽減が必要だったとして慰謝料50万円を認めた。

配転や負担軽減を 強い心理的な負荷

筆者:弁護士 岩本 充史

事案の概要

 本件は、原告Xが、同僚Cとの「二人作業」に従事していたところ、Xの業務負担の増加やCとの関係が悪化し、被告YがXとの労働契約上の義務として負う安全配慮義務または労働者が労働しやすい職場環境を整える義務を怠った旨を主張し、使用者であるYに対し、民法715条の不法行為責任または同法415条の債務不履行責任に基づく損害賠償(慰謝料)等を求めた事案である。

応用と見直し

 (1)Yの注意義務

 使用者は、その雇用する労働者に対して業務の指示・管理をする権限を有するから、…業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務を負うと解するのが相当であり、使用者に代わり労働者に対し業務上の指揮監督を行う権限を有する者(本件、D部長)は、使用者の上記注意義務の内容に従って、その権限を行使すべきことになる(最二小判平12・3・24、労働契約法5条)。…

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平成28年9月26日第3082号14面 掲載
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