ハマキョウレックス事件(大阪高判平28・7・26) 契約社員は手当なし、通勤手当のみ違法の一審は? 無事故手当など格差不合理
契約社員が正社員との手当格差の是正を求め、通勤手当のみ違法とされた事案の控訴審。大阪高裁は、正社員の福利厚生を手厚くする目的の合理性を認めつつ、無事故・作業・給食手当は、職務や配転の有無と関係なく支給され、格差を不合理と認定。住宅手当は正社員が配転に備え賃貸に住むなど負担が見込まれ、皆勤手当は契約社員の勤怠を時給に反映し、不支給でも不合理とはいえない。
職務や配転を考慮 福利厚生面異なる
筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)
事案の概要
一審原告は、一般貨物自動車運送事業等を営む一審被告との間で、有期労働契約を締結して配車ドライバーとして勤務し、本訴において次の請求等を行った。
①一審原告は、無期契約労働者の労働条件と比較すると、無事故手当、作業手当、給食手当、住宅手当、皆勤手当、家族手当、通勤手当、一時金の支給、定期昇給、退職金の支給に関する相違は不合理であって公序良俗に反し、平成25年4月1日以降は労働契約法20条にも違反し、無効であるとして、前記各手当等の支給に関し、無期契約労働者と同一の権利を有する地位にあることの確認を求めた。
②一審原告は、平成21年10月から平成25年8月までの前記各手当の差額が未払いであり、または一審被告の行為は不法行為であり、前記未払分と同額の損害を被ったとして、260万円余などの支払いを求めた。
差戻後の一審(大津地裁彦根支判平27・9・16、本紙第3066号)は、通勤手当について、「正社員の最低支給額5000円と、原告の受給額3000円の差額である2000円は被告の不法行為による損害」と判断し、一審原告の請求のうち、1万円(2000円×5カ月分)と遅延損害金を認容し、その余を棄却した。これに対し、双方が控訴した。
判決のポイント
労働契約法20条は、…
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