コンチネンタル・オートモーティブ事件(東京高決平28・7・7) 解雇され生活困窮のおそれ、賃金仮払い申し立てる 仮処分の必要性認められず
2017.02.06
【判決日:2016.07.07】
普通解雇され、無効の判決を待っていては経済上窮状に陥るとして、賃金仮払いなどを求めたが却下されたため即時抗告した。東京高裁は解雇権濫用ではないとしたうえで、配偶者に収入があり訴訟提起が困難なほど急迫した危険が差し迫った状態とはいえないと判断。預金額が減少したと主張したが、解雇から2年以上経過しこの間訴訟提起が可能として抗告を棄却した。
世帯収入勘案して 2年あり本訴可能
筆者:弁護士 石井 妙子(経営法曹会議)
事案の概要
Xは、平成23年6月、自動車部品の研究、開発および販売等を目的とするY社と雇用契約を締結し、マネージャーとして勤務していたが、平成26年1月に、本社に転勤となり、マネージャーの下で一担当者として業務に従事した。Y社は、同年5月、Xに自宅待機を命じ、同年6月、「業務能力また勤務成績が不適当と認めたとき」等の解雇理由に該当するとして解雇した。
Xは、解雇無効を主張して仮処分を申し立て、労働契約上の権利を有する地位にあることを仮に定める(地位保全の仮処分)とともに、1カ月当たり73万円余の月例給与について賃金仮払い(仮払いの仮処分)を求めた。原審(横浜地決平27・11・27)は、本件解雇は解雇権の濫用に当たるということはできず、保全の必要性もないとして申立てを却下したため、Xは即時抗告を申し立てた。
東京高裁は原決定を相当であるとして抗告を棄却した。…
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平成29年2月6日第3099号14面 掲載