泉レストラン事件(東京地判平26・8・26) コンビニ店長が割増請求、固定残業代の有効性は? 時間外労働の対価といえず
コンビニ店長2人に対し退職後に未払割増賃金を支払ったが、固定残業代の有効性をめぐってさらに割増賃金を求められた。東京地裁は、管理監督者に相当するポスト職を除く全員に対して、基本給や業務手当の3割相当額などを時間外勤務手当に充当していたが、恒常的な時間外労働の対価として合理的とは認められないと判断。割増賃金と同額の賦課金の支払いも命じた。
基本給3割を充当 店長含め一律支給
筆者:弁護士 渡部 邦昭(経営法曹会議)
事案の概要
会社(泉レストラン株式会社)は、コンビニエンスストアを運営している株式会社である。労働者Aは平成23年6月15日に入社し、平成24年10月15日をもって退職した。労働者Bは平成23年6月6日に入社し、平成25年3月30日をもって退職した。
Aは、平成24年4月9日付で、会社の運営するコンビニ店である甲ビル店の店長に、Bは、同年1月31日付で、乙ビル店の店長にそれぞれ就任した。AおよびBの労働条件は月給制で、労働時間は1日8時間のシフト制。賃金支払日は毎月末日締め、当月20日払(ただし、時間外手当は翌月20日払)であった。
時間外手当についての雇用契約上の記載は、賃金欄に「月額25万円」との記載があり、欄外に「月俸には金7万5000円の時間外手当を含む」との記載がある。会社の就業規則を受けた給与規程23条には「時間外勤務手当」の見出しのもとに、「ポスト職(労基法41条2号の管理監督者に該当する者)以外の社員については、支給される基本給の3割相当額、業務手当の3割相当額、資格手当の3割相当額と職務手当全額を、表記の順に一定時間分に相当する時間外、休日および深夜勤務に対する時間外勤務手当として支給し、表記の順に充当する。ただし、当該時間外手当相当分の時間を上回る時間数が発生した場合には、超過した時間に対する時間外、休日および深夜勤務手当を別途支給する」との記載がある。…
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