日産自動車ほか事件(横浜地判平26・3・25) デザイン業務に派遣6年受入れ、黙示の契約成立か 「元」で労働管理の実体あり
派遣先で車体のデザイン業務に6年間従事したが契約期間満了に伴い雇止めされたため、「先」に地位確認などを求めた。横浜地裁は最高裁判決を引用し、事前面接などの法律違反をもって派遣元との雇用関係が無効になるわけではなく、賃金支払いや時間管理の実態などから「先」の労働者と同一視できる特段の事情は認められないとした。専門業務で雇用申込み義務もない。
事前面接は違法も 期間制限ない分野
筆者:弁護士 渡部 邦昭(経営法曹会議)
事案の概要
甲および乙は、日産自動車株式会社(以下、Y1という)を派遣先、テンプスタッフテクノロジー株式会社(以下、Y2という)を派遣元とする派遣労働者として勤務していたものである。甲らは車体のデザイン業務等を担当した。
甲らとY2との労働者派遣契約に基づく最終派遣期間は平成21年1月1日から3月31日までであって、2月にY1からY2に対し、甲らが行っていた業務に関し、労働者派遣契約を更新しないとの連絡を受け、同月16日、Y2は甲らに対し、3月31日の期間満了をもって労働者派遣契約を終了すると通告した。
甲らは、派遣先であるY1との間で労働契約が成立しているとして、Y1に対し、労働者たる地位の確認および平成21年5月以降到来する分の賃金の支払いを求めるとともに、Y1およびY2に対し、不法行為に基づく慰謝料300万円を連帯して支払うよう求めて訴えを提起した。
本判決の争点は、(1)甲らと派遣先Y1との間に黙示の労働契約が成立したといえるかどうか、(2)甲らと派遣元Y2との労働者派遣契約は無効となるか、(3)甲らの派遣期間満了を理由とする雇止めは有効か、(4)甲らの雇用打切りが不法行為に当たるかにある。
本判決は、およそ以下のように判示して、甲らの請求を全て斥けた。…
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