アメックス(休職期間満了)事件(東京地判平26・11・26) 休職中に復職条件追加、「健康時と同様」の業務要求 就業規則変更の合理性欠く
復職規定にある「従来の業務を健康時と同様」に遂行できないとして、休職満了で退職した者が地位確認を求めた。うつ状態で休職後に復職条件が追加されたもので、東京地裁は就業規則変更の不利益は大きく合理性がないと判断。就労可能とした主治医に指定医も反対していないこと、具体的な判定基準は開示されず、復職可否の判断を拘束しないとして退職無効とした。
担当医ら就労認容 判定基準開示せず
筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)
事案の概要
Xは、平成22年12月、Y社に「うつ状態」と記載されたA医師の診断書を提出して23年10月まで傷病休暇を取得し、次いで24年12月20日まで療養休職とされた。
平成24年9月、Y社の就業規則に、「療養休職したものが復職する場合の復職とは従来の業務を健康時と同様に通常業務遂行できる状態の勤務を行うことをさす。…」との条項(24条3項)が追加された。
Xは、平成24年12月6日、主治医であるA医師作成の診断書および情報提供書を提出した。診断書には、うつ状態による治療中であるが、症状が改善したため、12月14日より就労可能であると記載されていた。Xは、12月17日、Y社指定医のB医師の診察を受け、復職については問題ないとの診断を受けたとY社に報告した。
平成24年12月20日、Y社はXに対し、就業規則の「休職期間満了時において休職事由が消滅せず、速やかに復職することが困難であると判断される時」に該当するとして、雇用契約終了を通知した。
Xは、雇用契約上の地位確認等を求めて提訴した。
判決のポイント
本件就業規則24条3項は、従来規定されていない「健康時と同様」の業務遂行が可能であることを、療養休職した業務外傷病者の復職の条件として追加するものであって、労働条件の不利益変更に当たることは明らかである。被告において、…
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