エム・シー・アンド・ピー事件(京都地判平26・2・27) うつ病復職者に肩叩き、再休職の期間満了で退職扱 解雇示唆し意思決定を侵害
2014.11.17
【判決日:2014.02.27】
うつ病休職から復帰後の退職勧奨で再休職し、その期間満了での退職扱いは違法で無効として、慰謝料や地位確認を求めた。京都地裁は5回勧奨を繰り返し、応じなければ解雇の可能性を示唆するなど自由な意思決定を困難にしており違法と判示。勧奨で強い心理的負荷が生じ、うつ病の悪化に業務起因性が認められることから退職も無効としている。
症状悪化した要因 地位確認も認める
筆者:弁護士 石井 妙子 (経営法曹会議)
事案の概要
Y広告会社の女性社員Xは、メディカルコピーライターの業務を担当していたところ、平成21年8月からうつ病により私傷病休職となり、同22年3月1日に復職した。復職の際の勤務条件について、勤務時間は1日6時間、業務内容はアシスタント業務、賃金は休職前の75%とする等を合意した。
Y社はXが仕事をこなしきれていないことから、平成23年8月22日以降、同月30日まで5回にわたる退職勧奨をしたが、Xはこれに応じなかった。Xは、8月31日、主治医の診察を受けたところ、うつ病により休養加療を要すると診断されて9月1日から休職となり、就業規則所定の3カ月の休職期間満了により退職扱いとなった。
Xは、①退職強要により精神的苦痛を被ったとして不法行為に基づいて慰謝料200万円、②休職期間満了による退職扱いが無効であるとして、労働契約上の地位確認と退職扱い後の賃金、③未払い残業代の支払いを求めて提訴した。…
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平成26年11月17日第2993号14面 掲載