PwCあらた有限責任監査法人事件(東京高判令3・7・14) ストーカー行為の諭旨免職重すぎとした一審は ハラスメントで解雇有効に
ストーカー行為等を理由に、諭旨免職や普通解雇された従業員が地位確認を求めた。行為を裏付ける証拠がなく請求を一部認容した事案の控訴審。東京高裁は、就業規則で禁じるハラスメント行為に当たり、行為は相当程度悪質で、懲戒歴がなく管理職でないことを考慮しても、普通解雇等を有効とした。控訴審では、被害女性が夫と協力して動画撮影した内容を具体的に補充主張していた。
動画撮り被害立証 懲戒歴なかったが
筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)
事案の概要
一審原告は、一審被告と期間の定めのない雇用契約を締結して就労していたが、平成30年5月、職場の女性に対するハラスメント等により諭旨免職処分を受けた。しかし、一審原告は、退職に応じず、同年7月、降格決定を受け、平成31年2月に至り、職務遂行に必要な能力を欠く等として普通解雇された。
一審原告は、訴訟を提起し、①諭旨免職処分の無効確認、②降格決定の無効確認、③普通解雇は無効であるとして、雇用契約上の権利を有する地位の確認、④賃金および賞与の支払等を請求した。
一審(東京地判令2・7・2)は、①諭旨免職処分の無効確認請求を認容し、②降格決定は有効と判断し、その無効確認請求は確認の利益がないとして却下し、③普通解雇は無効として、雇用契約上の権利を有する地位の確認請求を認容し、賃金の支払請求を一部認容し、その余の請求は棄却した。そこで、当事者双方が控訴した。
控訴審において、一審原告は、降格決定の無効確認請求を取り下げ、降格決定前の地位にあることの確認請求を追加した。
判決のポイント
一審原告による本件ストーカー行為の態様は、…
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