テトラ・コミュニーケーションズ事件(東京地判令3・9・7) 書類提出に非協力的で協調性欠くとけん責は? 弁明の機会与えず懲戒無効
2022.03.03
【判決日:2021.09.07】
けん責処分は違法無効として、従業員が会社に損害賠償等を求めた。処分の理由は、DC移行に必要な書類の提出を求めた会社に対し、脅迫的な言動をしたことだった。東京地裁は、就業規則等に規定がなくても弁明の機会を与えるべきと判断。懲戒事由の「非協力的で協調性を欠く」か否かは、経緯や背景も確認する必要があるとした。手続的相当性を欠き処分無効で、慰謝料10万円を命じた。
手続規定なくても 慰謝料額は10万円
筆者:弁護士 中町 誠(経営法曹会議)
事案の概要
本件は、被告に雇用される労働者であった原告が、被告から違法無効な懲戒処分(けん責処分)を受けたことによって損害を被ったと主張して、被告に対し、民法709条または会社法350条に基づく損害賠償等を求める事案である。
処分理由は、原告が、被告のアドミニストレーショングループの担当者であるCから、被告の企業年金の確定拠出年金への移行(以下「DC移行」)に係る必要書類の提出を求められ、Cに対し、関連資料の送付を求めたうえ、「この件で、私が不利益を被ることがありましたら、訴訟しますことをお伝えします」とのメッセージを送信した行為が、「訴訟」という単語による脅迫および非協力的な態度として懲戒事由に該当するとされたものである。
判決のポイント
(1)懲戒処分に当たっては、…
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令和4年3月7日第3343号14面 掲載