グローバル事件(福岡地裁小倉支判令3・8・24) 障害者施設で寝泊まり、不活動時間の割賃請求 夜間対応2日に1日は労働
障害者福祉施設で働く従業員2人が、泊まり込みで業務を行うなど労働時間は24時間365日と主張して未払割増賃金等を求めた。福岡地裁小倉支部は、施設利用者へ対応をしていない不活動時間の多くも必要があれば対応が予定され、指揮命令下と認定。夜間については、それぞれ対応を分担していたことなどから2日に1日は労働からの解放が保障されていたとしている。
労働者同士で分担 多くは指揮命令下
筆者:弁護士 渡部 邦昭(経営法曹会議)
事案の概要
会社は、障害者就労移行支援施設、グループホーム、自立準備施設等を運営する株式会社である。
甲および甲2(以下、甲らという)は、会社に平成26年11月および27年1月から雇用契約を締結し、会社の運営する就労移行支援施設において就労していた。甲らは、会社の運営するグループホームで寝泊まりをしていた。
甲らは平日(出勤日とされている土曜日も含む)の就労支援施設における業務(午前9時から午後4時まで)を終えた後にグループホームにおいて泊まり込みで利用者の対応業務(午後4時から翌日午前9時まで)を行い、就労移行支援施設に出勤しない土曜日、日曜日、祝日は1日中グループホームの利用者の対応や食事準備をしていたから、労働時間は24時間、365日であると主張して、会社に対し、未払賃金等として1112万円から2357万円余りの未払賃金(時間外賃金等)を請求して提訴した。
本件の争点は、甲らの泊まり込み時間は労働時間と認められるか、実労働時間(労基法32条、同37条)の範囲等である。本判決は、およそ以下のように認定して、甲らの請求を大筋で認容した。
判決のポイント
(1)労働基準法32条の労働時間とは、…
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