ロジクエスト事件(東京地判令2・11・24) 社名入り制服やカートを使用し労働者性あり!? 配送業務は委託契約に該当
配送業務の委託契約を解除された者が、実態は「労働者」であり解雇無効と訴えた。社名入りの制服やキャリーカートを使用していた。東京地裁は、制服着用等の目的は円滑な業務遂行であり、労働者性を基礎付けるものとはいえないと判断。受注するか諾否の自由があり、基本的な業務遂行方法も裁量を有するとしている。報酬は配送距離や件数から算出し、時間との結び付きは弱かった。
遂行には裁量あり 時間単価でもない
筆者:弁護士 岩本 充史
事案の概要
本件は、Yから依頼を受けて配送業務に従事していたXが、労働契約法2条1項、労働基準法9条の「労働者」に該当するにもかかわらず、Yが違法な解雇を行ったなどと主張して、不法行為等による損害賠償請求権に基づき、慰謝料および逸失利益等の支払いを求めた事案である。原審(東京簡易裁判所)は、Xの請求を全部棄却する旨の判決を言い渡し、Xがこれを不服として本件控訴を提起した。
(1)Yは平成27年11月1日、株式会社Aを吸収合併した株式会社である。なお、Bは本件会社の従業員であり、平成26年当時、業務委託契約書を交わした者に対し業務を依頼する部門の責任者であった。
(2)Xは平成25年9月26日、本件会社との間で、契約期間を契約締結日から3カ月間とする以下の記載のある業務委託契約書と題する契約書を交わし、平成26年1月1日、同年3月31日、同内容の業務委託契約書を交わした。
ア Xは、委託業務を遂行するに当たり、本件会社所有のエコキャリーバッグならびにエコキャリーカート、ユニフォームを借り受け使用する。
イ 本件会社またはXは本件契約の期間中といえども、1カ月前までに予告することにより本件契約を解除できる。
(3)Xは、平成25年9月26日から、本件会社から都度依頼を受けて荷物を指定場所に公共交通機関により配送をする業務を遂行していたが、平成26年5月19日を最後に、本件会社ないしYから依頼を受けた業務を遂行していない。
争点の中で本件契約が労働契約に該当するか否かの点について紹介する。
判決のポイント
本件契約は、…
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