プロポライフ事件(東京地判平27・3・13) 賃金総額同じまま一部固定残業代にする条件変更は 基本給に割増組入れ認めず
基本給35万円のうち約12万円を固定残業代とする労働条件の変更は無効として、退職後に未払割増賃金を求めた。1年半で6回にわたり賃金項目や額が変更された事案。東京地裁は、契約書の署名押印は自由な意思に基づくものとはいえないとした。残業代の基礎を減らす目的で合理性はなく、明確に説明した事実もないとしている。割増賃金に加え半額の付加金を認容。
署名押印効力なし 付加金半額命じる
筆者:弁護士 岩本 充史
事案の概要
① Xは、平成22年6月にY社に入社した。その際の主な労働条件は、所定労働時間午前10時から午後7時まで(休憩1時間)、賃金は、基本給23万円、家賃手当1万5000円、報奨金であった(以下、「本件労働契約」)。
② その後、平成23年4月、XはY社との間で賃金を基本給35万円、家賃手当3万円、報奨金と変更する合意をした(「23年4月変更」)。
③ その後、平成23年6月、Y社は、Xの賃金を基本給20万8800円、職務手当11万7000円(時間外固定残業代)、役職手当1万1700円(深夜固定残業代)、調整手当1万2500円、家賃手当月額1万5000円、家族手当月額1万5000円、報奨金と変更した(「23年6月変更」)。
④ その後、平成24年3月分の賃金から家賃手当および家族手当を各1936円減額した(「24年3月変更」)。
⑤ Y社は平成24年4月、1カ月単位の変形労働時間制を導入するとともに、同月のXの賃金から、基本給20万8560円、固定時間外手当11万8500円、固定深夜手当1万2000円、調整手当1万940円、報奨金と変更した(「24年4月変更」)。…
この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら