地位確認等請求事件(東京地判令2・9・28) 試用期間の延長同意、就業規則にはなく無効? 延長する目的認められない

2022.07.07 【判決日:2020.09.28】
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 3カ月の試用期間で入社した従業員が、同期間を延長した後に本採用を拒否されたため解雇無効と訴えた。本人は延長に同意したが、東京地裁は延長を無効として請求を認容。就業規則に規定がなくても、能力や適性の調査を尽くす目的があり、かつ同意を得て最小限延長することは可能だが、注意指導等の状況からこうした目的は認められず、就業規則の最低基準効に反するとした。

問題点を指摘せず 最低基準効反する

筆者:弁護士 石井 妙子(経営法曹会議)

事案の概要

 Xは、Yと3カ月の試用期間がある労働契約を締結した。就業規則には試用期間延長の根拠規定はなかったが、Yは、試用期間延長通知書により、現時点では本採用に適すると認められないとして試用期間を1カ月延長する旨を通知し、Xは同通知書末尾の同意する旨の記載の下部に署名・押印をして延長に同意した。その後も2回、1カ月ずつ試用期間が延長され、延長された試用期間中、退職勧奨が行われたが、Xが応じなかったところ、試用期間中に本採用を拒否(解雇)された。

 Xは、試用期間延長の効力を争うとともに、解雇は客観的合理的理由を欠き社会通念上も相当でなく無効であるとして、雇用契約に基づき労働契約上の権利を有する地位にあることの確認と賃金の支払いを求め、さらに、不当な退職勧奨があったとして不法行為に基づく慰謝料およびこれらに対する遅延損害金の支払いを求めて提訴した。

判決のポイント

1 試用期間延長の効力

 試用期間を延長することは、…

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令和4年7月11日第3360号14面 掲載
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