懲戒処分取消等請求事件(最三小判令4・6・14) 暴行した被害者へ「口封じ」、さらに懲戒処分は 6カ月停職は裁量の範囲内 ★
2022.07.28
【判決日:2022.06.14】
上司や部下への暴行・暴言で停職2カ月の懲戒処分を受けた地方公務員が、停職中に被害者らに対し、不利益な発言をしないよう口封じを図ったことに対する「6カ月の停職処分」の量定を争った。処分を重すぎるとした原審に対し、最高裁は、懲戒の種類、停職期間を懲戒権の裁量の範囲内と判示。部下らに報復を示唆して威迫したと評価して、非難の程度が相当高いとしている。
報復示唆して威迫 悪質性が相当高い
筆者:弁護士 中町 誠(経営法曹会議)
事案の概要
普通地方公共団体である上告人の消防職員であった被上告人は、任命権者であった氷見市消防長から、上司および部下に対する暴行等を理由とする停職2月の懲戒処分(以下「第1処分」という)を受け、さらに、その停職期間中に正当な理由なく上記暴行の被害者である部下に対して面会を求めたこと等を理由とする停職6月の懲戒処分(以下「第2処分」という)を受けた。本件は、被上告人が、上告人を相手に、第1処分および第2処分の各取消しを求めるとともに、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求めた事案である。
判決のポイント
1 公務員に対する懲戒処分について、…
この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら
令和4年8月1日第3363号14面 掲載