池中運送事件(大阪地判平5・7・28) 割増賃金算定に住宅手当・調整手当を含めない労働協約は
1994.03.28
【判決日:1993.07.28】
除外賃金にあたらず無効
筆者:弁護士 渡部 邦昭(経営法曹会議)
事案の概要
会社(池中運送株式会社)が、時間外手当の計算基礎に住宅手当及び調整手当を含めず、皆勤手当および無事故手当のうち一部のみを含めて計算する取り扱いをしたことに対して、会社の従業員甲外2名が平成元年から平成4年あまりの期間の差額賃金と同額の附加金の支払いを求めて提訴した。
会社の主な反論は次の2つである。①右のような取り扱いは、甲外2名も加入している労働組合(全日本運輸一般労働組合北大阪支部池中分会)との合意(協約)にもとづくものであるから、未払い時間外手当は存在しない。②右の協約が仮りに労働基準法に違反するとしても、労働組合や甲外2名はこれまで右協約部分及び取り扱いを受け入れてきたことや会社が経営危機に直面しており、その中で何とかやり繰りして時間外手当を支給してきたことから、甲外2名が労働基準法に違反する労働協約部分があるとか時間外手当の未払い分があるとか主張するのは信義則に反する。本判決は、会社の反論を付けて、甲外2名の主張を認容した。
判決のポイント
①について。「時間外手当の計算の際、…
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平成6年3月28日第2002号10面 掲載