日本情報企画事件(東京地判平5・9・10) どうする?使用人兼務役員の退職金の支払い
1994.05.02
【判決日:1993.09.10】
退職金規定が適用される
筆者:弁護士 加茂 善仁(経営法曹会議)
事案の概要
Y株式会社は、電子計算機による情報処理サービス、情報提供及びこれに関する業務及びソフトウエアの開発並びにこれに関する技術者の派遣業等を目的とする会社である。
Xらは、Y会社に入社し、入社時からY会社の取締役として登記されていたが、取締役としての地位は形式的・名目的なものであった。その後、Xらは、Y会社を退職し、退職金の支払いを請求したところ、XらとY会社との間においてXらの退職金を各々60万円とすること及びその分割払いの合意が成立した。しかし、Y会社は第1回目の分割払金を支払ったのみで、その後の支払いをしなかった。そこでXらは、支払催告後Y会社の不履行を理由に合意を解除し、Y会社の退職金規定にもとづく退職金の支払いを求めて請求。
Y会社は、退職金規定には、従業員が役員に就任したときは退職金が支給される旨規定しており、このことは役員には退職金がないことを意味する。また、Xらは取締役として他の従業員よりも高を支給されていたのであるから取締役であったXらに退職金規は適用されず、Xらは退職金請求権は有しないとして争った。
判決のポイント
Xらは、…
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平成6年5月2日第2007号 掲載