ソニー事件(東京地決平6・3・29) 労働時間短縮協定の一部解約は許されるか?
1994.07.11
【判決日:1994.03.29】
“譲歩経緯”明記の有無で判断
筆者:弁護士 加茂 善仁(経営法曹会議)
事案の概要
会社には2組合が併存している。会社は平成4年の春闘において、両組合と基本協定を締結した。その内容は、「賃金に関する項目」と「その他の項目」から成り、「その他の項目」の中の1つに労働時間短縮の協定(時短協定)があった。時短協定の内容は、労働時間を平成5年1月より1896時間、平成6年1月より1856時間とするものであった。
その後、会社は平成5年10月に至り、経営環境の悪化により、平成6年1月からの時短を1年間延長したい旨両組合に申し入れたところ、多数組合は、これに同意したが、少数組合はこれに応じなかった。そこで会社は少数組合に対し、平成5年12月、平成6年1月からの時短を行わないことを通知するとともに、時短協定のうち平成6年1月から1856時間とする部分を解約する旨通知した。
本件は、少数組合員が、会社の時短協定解約の無効を理由に、時短協定にもとづく平成6年度の時短分として年間5日の個人別休日を行使できる地位を有するとして仮処分を申し立てたものである。
決定のポイント
1、本件基本協定は、…
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平成6年7月11日第2016号10面 掲載