三陽物産事件(東京地判平6・6・16) 住民票上の世帯主かどうかを賃金処遇上の基準とするのは
1994.09.05
【判決日:1994.06.16】
特段の理由なければ違法
筆者:弁護士 宮本 光雄(経営法曹会議)
事案の概要
会社はへ新給与制度を発足させたが、それによれば、
① 本人給は社員の年齢に応じて支払う、
② 適用年齢は実年齢25歳まではみなし年齢(学齢)とし、それ以降は実年齢をもって支給する、
③ 非世帯主および独身の世帯主には所定の本人給を支給しないことがある
とされていた。
そして、会社の取り扱いでは、非世帯主および独身の世帯主で、かつ、本人の意思で勤務地域を限定して勤務についている者には所定の本人給の適用はみなし年齢26歳までとされていた。
会社は、原告ら女子従業員がいずれも非世帯主で、かつ、本人の意思で勤務地域を限定して勤務についている従業員に当たるとして実年齢(46歳又は49歳)に応じた本人給、一時金を支給せず、26歳に相当する本人給を支給してきた。
本件は、従業員の実年齢に対応した本人給支給の例外として、非世帯主および独身の世帯主に対しては、実年齢に関係なく26歳相当の本人給で据え置く基準を設け、さらに勤務地限定・無限定の基準を設定することで、男子従業員に対しては実年齢に応じ、女子従業員については26歳相当の、本人給および一時金を支払っていた取り扱いが、女子であることを理由とした賃金差別であるとして争われた事案である。
判決のポイント
会社は、…
この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら
平成6年9月5日第2023号10面 掲載