高知県観光事件(最判平6・6・13) 歩合給タクシー運転者の時間外と深夜割増賃金は ★
1994.10.31
【判決日:1994.06.13】
就労義務の有無で判断
筆者:弁護士 中町 誠(経営法曹会議)
事案の概要
Xらは、タクシー業を営むY会社にタクシー乗務員として雇用されている。Xらの勤務体制は、全員が隔日勤務であり、労働時間は午前8時から翌日午前2時までである。Xらに対する賃金は、毎月1日から末日までの間の稼働によるタクシー料金の月間水揚高に一定の歩合を乗じた金額を翌月の5日に支払うということになっており、Xらが労基法37条の時間外及び深夜の労働を行った場合にも、これ以外の賃金は支給されておらず、右の歩合給のうちで、通常の労働時間の賃金に当たる部分と時間外及ひ深夜の割増賃金に当たる部分とを判別することもできない。
Xらは、右の事実関係に基づいて、Xらに対しては本件請求期間における時間外及び深夜の割増賃金が支払われていないとして、本訴においてY会社に対して、午前2時以降の時間外労働及び午後10時から翌日午前5時までの深夜労働に対する割増賃金等の支払いを求めた。Y会社は、前記の歩合給には、時間外及び深夜の割増賃金に当たる分も含まれているから、Xらの割増賃金は支払い済みである等と争った。
判決のポイント
本件請求期間にXらに支給された前記の歩合給の額が、…
この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら
平成6年10月31日第2030号10面 掲載