西武バス事件(東京高判平6・6・17) 懲戒解雇事由に該当することを理由とした普通解雇の効力
1994.11.07
【判決日:1994.06.17】
規則に定めがなくてもOK
筆者:弁護士 畑 守人(経営法曹会議)
事案の概要
控訴人(原告)は、被控訴人(被告)の路線バスの運転手であるが、平成元年6月30日の勤務後に、制服のまま同僚と飲食店で飲酒し、翌日の早朝出勤のために営業所に宿泊しようとして被控訴人の最終バスに乗車することとした。その際、控訴人がバスの運転手に出発を待たせたため被控訴人は乗客からバスを私物化していると苦情を受けた。
被控訴人は、平成元年7月30日、控訴人の行為が就業規則の懲戒事由に該当することを理由に「解雇手当を支給し即日解雇する」との懲戒処分決定書と解雇通知書を交付し、解雇予告手当、退職金を提供して控訴人を解雇した。
控訴人は同人の行為が懲戒解雇ないし普通解雇の理由に該当しない、あるいは解雇が解雇権の濫用であると主張し、雇用契約上の権利の確認と賃金の支払いを求めて本訴を提起した。一審判決(平4・12・1東京地判)は控訴人の請求を棄却したが、控訴審では控訴人の主張を認め、一審判決を変更して請求を認容した。
判決のポイント
本件解雇は、…
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平成6年11月7日第2031号10面 掲載