名古屋南労基署長(矢作電設)事件(名古屋地判平6・8・26) 高血圧疾患者の海外出張中の脳出血死に、業務起因性は? ★

1994.12.12 【判決日:1994.08.26】
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認められた相当因果関係

筆者:弁護士 中山 慈夫(経営法曹会議)

事案の概要

 本件は、入社以降、最大血圧が150を上回り、定期健康診断において高血圧と診断され、治療を受けていたなど、高血圧症の基礎疾患を有する取締役開発部長Xが外国主張中に脳出血により死亡したため、Xの妻から遺族補償年金等の労災保険給付を求められた事案である。争点は、Xの脳出血が業務に起因して発症したものか否か、という業務起因性の存否にある。

 行政機関の最終判断(処分)では、Xの従事した業務と本件疾病発症との間に相当因果関係は認められず、むしろ、Xの基礎疾患が自然的経過によって進行し、たまたま外国出張中に脳出血を発症したもので業務起因性はないとされたが、本判決はこの処分を取り消して業務起因性を認めたものである。

 なお、Xは取締役であるが、労働者災害補償保険法の適用を受ける労働者は労基法9条の労働者、すなわち使用者との関係で使用従属関係にある者と解されているから、Xのような代表権を持たない使用人兼務役員も同法の労働者として取り扱われるのである。

判決のポイント

 Xはそれまで従事していた業務により、

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平成6年12月12日第2036号10面 掲載
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