NECソリューションイノベータ事件(大阪地判令3・11・29) 育児介護理由に転勤拒否、解雇され無効と提訴 配転命令の有効性を認める
事業場閉鎖に伴う配転命令を拒否して懲戒解雇された従業員が、育児・介護を理由に転勤等はできないと主張して地位確認等を求めた。大阪地裁は、会社が認識していた子の疾病や親の介護の内容等からは通常甘受すべき程度を著しく超える不利益はないと判断。従業員自ら十分な説明を行わなかったとしたうえで、仮に事情を考慮しても配転命令は有効であり、懲戒権の濫用も否定している。
甘受すべき不利益 懲戒権濫用も否定
筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)
事案の概要
被告会社は、平成31年3月1日、原告に対し、NEC関西ビルからNEC玉川事業場(神奈川県川崎市)に配転すること、同月15日までにNEC玉川事業場に着任することを内容とする配転命令を発令した。その後、被告は、原告との面談等を経て、同年4月15日までに転勤先に着任するよう再度命ずる旨の業務命令を通知した。
被告は、平成31年4月15日、懲戒委員会を開催し、同委員会において、原告につき懲戒解雇が相当であるとの判断がなされた。被告は、平成31年4月17日、原告に対し、転勤命令に応じないことが業務命令違反であり、会社秩序を著しく乱すものとして、懲戒解雇とする旨通告した。
原告は、訴訟を提起し、懲戒解雇が無効であるとして、労働契約上の地位確認と賃金等の支払いを求めるとともに、多数の従業員の面前で懲戒解雇通知書を読み上げられたことが不法行為に当たるとして損害賠償を求めた。
本判決後、控訴審で和解が成立した。
判決のポイント
使用者は業務上の必要に応じ、その…
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