ユナイテッド・エアーラインズ事件(東京高判令3・12・22) 成田事業場を閉鎖、整理解雇有効の一審判断は 可能な限り回避措置講じる

2022.10.13 【判決日:2021.12.22】
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 航空会社の客室乗務員が、整理解雇されたため地位確認等を求めた事案の控訴審。国際線の業務量が減り、所属する成田ベースが閉鎖された。東京高裁は、契約で職種を限定している中で、年収水準を維持した配転の提示や早期退職に伴う退職金の加算など解雇の不利益を緩和する可能な限りの回避措置を講じたと評価。団交を複数回行うなど整理解雇4要素に照らしても解雇有効とした。

配転案は年収維持 退職金に特別加算

筆者:弁護士 岡芹 健夫(経営法曹会議)

事案の概要

 Y社は、米国に本社を置く航空会社であり、X1~4(以下「Xら」)は、平成5年2月までに、Y社の前身会社A1社との間で、当初は機内通訳として、後にFA(客室乗務員)として職種を限定したうえで、期限の定めのない雇用契約を締結した者である。

 平成4年、A1社は、グアムを本拠地とする外資系航空会社CMIを子会社化し、Xらは平成5年4月にCMIに所属変更となった。CMIは、A1社(A2社との合併後はY社)からの委託を受けA1社保有機材を用いた運航便においてCMI所属のFAによる機内サービスを提供していた。平成29年にY社はCMIを吸収合併した。

 CMIには、FAが所属する「ベース」と呼ばれる部署がグアム(234人。うち日本語スピーカー32人)と成田(21人。全員が日本語スピーカー)にあり、Xらは成田ベース所属であった。CMIも含めたグループ全体の全世界的な規模での機材配置の合理化や、路線の運航の順次廃止により、CMI所属の日本語スピーカーFAの総乗務時間数は順次減少していった。

 平成28年2月4日、CMIとXらの所属するX5労組との団体交渉で、CMIより、同年4月の成田ベースの閉鎖を通告され、従前と同等年収での地上職への転換または割増退職金を含む早期退職パッケージの提案が行われた。閉鎖の理由としては、CMI所属のFA、特に日本語スピーカーFAが人員余剰であることなどが説明された。その後の団体交渉でも交渉が進展せず、平成28年4月末頃、CMIはXらに対し、同年5月31日をもって解雇(以下「本件解雇」)する旨通知した。本件解雇時、Xらは、米国の就労ビザおよびグリーンカードを所持していなかった。本件解雇後の平成28年8月、Y社およびCMIが米国の労働組合AFAとの間で締結した労働協約には、外国籍のFAについてY社およびCMIの運航便への乗務を制限するフォーリンナショナル条項が含まれていた。

 Xらは、本件解雇を無効とし、主位的に労働契約上の権利の確認および賃金等の支払いを求める請求を、予備的に不法行為による損害賠償請求を行った。一審判決(東京地判平31・3・28、本紙3258号)は、Xらの請求をいずれも棄却したため、Xらが控訴したのが本件である。

判決のポイント

 当該債務の履行地が…

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令和4年10月17日第3372号14面 掲載
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