学校法人沖縄科学技術大学院大学学園事件(那覇地判令4・3・23) 更新1回で雇止めされた看護師が地位確認請求 業務縮小は“合理的理由”に
更新1回で雇止めされた看護師が、地位確認等を求めた。期間途中に診療所が閉鎖され、再開しても業務縮小が見込まれたため雇止めに至ったもの。那覇地裁は、看護師業務は常用性を有するが、診療所の運営状況が縮小方向に変化したことは雇用継続しない合理的な理由と判断。更新は使用者の申入れに対して本人の承諾が必要で、相応に契約を管理していた点等も考慮して請求を棄却した。
契約手続きも考慮 「常用性」有するが
筆者:弁護士 渡部 邦昭(経営法曹会議)
事案の概要
A学園は、診療所や保健センター等を設立・運営する学校法人である。看護師の資格を有している労働者甲は、平成28年11月1日~30年10月31日までを有期雇用期間として採用され、診療所で看護師業務に従事した。
雇用契約書には「本契約は、契約期間満了時の業務量およびA学園の財務状況、その他を判断し、甲に対して契約更新を提示し、甲の承諾を以って、更新が成立する」旨定められており、労働条件通知書には、「契約更新の可能性:あり」との記載がある。
診療所は平成29年7月末、唯一の医師が退職したため休診となった。休診後、甲は保健センターにおける患者対応業務に従事した。
A学園と甲は、平成30年11月1日、契約更新手続きを経たうえで、同月1日から平成31年3月31日までを雇用期間とする本件雇用契約を更新した。
A学園は、平成31年4月頃に診療所を正式再開する予定であったが、再開は延期された。また、再開しても開院時期の短縮が見込まれたことから、短縮に伴う業務縮小を理由に、同年3月31日の雇用期間満了をもって、甲と雇用契約を更新しなかった(本件雇止め)。
甲はA学園に対し、労働契約法19条2号に定める雇止め法理の適用があることを前提に、本件雇止めは客観的合理的な理由を欠き、社会通念上相当であるとは認められない等と主張して労働契約上の地位確認等を求めて提訴した。
本判決はおよそ以下のように判示して、労働契約法19条2号の適用を否定し、甲の請求を斥けた。…
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