休業補償給付支給決定取消請求事件(東京地判令4・4・13) 残業代含まない労災給付額は誤りと取消し請求 部長の管理監督者性認めず
2022.11.24
【判決日:2022.04.13】
適応障害で休業した経理部長が、労基法の管理監督者には当たらないとして、割増賃金を含んでいない休業補償給付の支給決定処分の取消しを求めた行政訴訟。東京地裁は、経理部において労務管理や人事考課の権限を持たない点などから管理監督者性を否定。労働時間に裁量はなく、給与は本部長に次いで高額だったが手当の一部は権限や裁量に対応するものではないとしている。
職務や権限を考慮 高待遇も裁量なし
筆者:弁護士 中町 誠(経営法曹会議)
事案の概要
本件は、株式会社Aに勤務していた原告が、業務上の事由により適応障害を発症したとして、処分行政庁に対し、労災保険法に基づく休業補償給付の請求をし、平成30年3月23日付で休業補償給付の支給決定を受けたのに対し、原告は労働基準法41条2号の「監督若しくは管理の地位にある者」に該当せず、本件処分には給付基礎日額の算定に誤りがあるとして、その取消しを求めた事案である。
本件の争点は、本件処分に係る給付基礎日額に時間外および休日労働に対する割増賃金を算入すべきか否かであり、具体的には、本件平均賃金の算定期間(原告は管理本部経理部長として財務会計等の業務に従事)において、原告が労基法41条2号規定の管理監督者に該当するか否かである。
判決のポイント
1、労基法41条2号の管理監督者とは、…
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令和4年11月28日第3378号14面 掲載