国際自動車(再雇用更新拒絶)事件(東京地決平28・8・9) 低い売上げや事故理由に高齢ドライバーの更新拒否 “報復的な雇止め”で無効に
営業成績や事故を理由に契約更新されなかった65歳以上の元運転手2人が、地位確認等を求めた。東京地裁は、団交での代表者の発言から雇止めの理由は、残業代請求訴訟を提起した点にあると推認。更新回数は7回に上り上限年齢もないなど更新期待が認められ、雇止めの合理的理由も欠くとした。労組から労働者供給されていたが労契法の規制を潜脱するとしている。
残業代訴訟が原因 形は労働者供給も
筆者:弁護士 岡芹 健夫(経営法曹会議)
事案の概要
Y社は、タクシーによる一般乗用旅客自動車運送事業を営む株式会社であり、その前身会社の一営業所の分社化により、平成17年2月1日に設立された。
X1、X2ら(以下総称する場合は「Xら」)は、Y社との間で労働契約を締結したタクシー運転手であり、K労働組合の組合員である。
X1は、平成17年5月以降前身会社でタクシー運転手として勤務し、平成20年3月15日に60歳定年となった後、同月16日より平成28年3月17日まで、Y社との間で1年ないし半年を期間とする有期労働契約を締結、更新していた。X2は、平成20年3月にY社との間で1年の有期雇用契約を締結し、以後平成28年4月17日まで、Y社との間で有期労働契約を締結、更新した。
平成26年6月17日、Y社と本件組合は、労働者供給に関する基本契約を締結し、平成27年2月19日、X1とY社は、期間を同年3月18日から1年間とする雇用契約を締結(更新)した。その後、同年3月18日付けで、Y社より本件組合に対し、X1について、平成28年3月17日までの1年間、週の所定労働時間を30時間未満とすることなどを内容とする労働者供給の申込みがなされた。平成27年3月30日、X2とY社は、期間を同年4月18日から1年間とする雇用契約を締結(更新)し、…
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