学校法人茶屋四郎次郎記念学園事件(東京地判令4・1・27) 無期転換権行使した大学講師を期間満了雇止め 通算10年に満たず権利なし

2022.12.01 【判決日:2022.01.27】
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 有期契約の更新を繰り返して6年目に無期転換権を行使した大学講師が、期間満了で雇止めされたため地位確認を求めた。東京地裁は、無期転換権の行使に必要な5年の期間を10年に読み替える教員任期法の適用があると判示。無期転換は否定したが、職務は恒常的で、厳格さを欠く形で更新が繰り返されるなど更新には合理的期待が認められ、非違行為を理由とした雇止めを無効とした。

教員任期法が適用 1年更新は認める

筆者:弁護士 岡芹 健夫(経営法曹会議)

事案の概要

 Yは、T大学およびT大学院を設置・運営する学校法人である。

 XはYと、平成25年4月1日、契約期間を1年間、業務をT大学A学部講師とする有期労働契約を締結し、その後5回にわたって、T大学の講師または専任講師として有期労働契約を更新してきた者である(最後の有期労働契約を以下「本件労働契約」)。Xは、Yから研究室を貸与され、主に大学生に対し、経営福祉に関する授業を行うほか、T大学院の授業等を担当することもあった。

 Yは、Xに対し、平成30年12月13日、本件労働契約の契約期間の満了日である平成31年3月31日をもって契約終了とし、その後の労働契約の更新を行わないことを告げ、平成30年12月20日付「契約期間満了通知書」を大学内のXのポストに投函した(以下「本件雇止め」)。その後、Yは、本件雇止めの理由につき、Xが、(ア)懲戒処分としてけん責処分を受けていること、(イ)厳重注意を受けていること、(ウ)勤務態度が不良であること、(エ)その他T大学の教員としてふさわしくない言動があったことである旨を記載した同年12月25日付「事由書」を交付した。

 XはYに対し、遅くとも平成31年1月21日までに、同年4月以降の雇用の継続を求め、同年4月1日を始期とする期間の定めのない労働契約の締結の申込み(以下、「本件無期転換申込み」)をした。

 Xは、主位的に、労働契約法18条1項に基づいて期間の定めのない労働契約が締結されたものとみなされること、予備的に、上記有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があり、本件雇止めは客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であるとはいえず、同法19条により、同一の労働条件で有期労働契約が更新されたものとみなされることを主張し、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認等を求めて、Yを提訴した。

判決のポイント

 教員任期法は、…

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令和4年12月5日第3379号14面 掲載
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