東京芸術大学事件(東京地判令4・3・28) 約20年契約更新した非常勤講師を雇止め有効か 労契法上の労働者性認めず
2023.02.24
【判決日:2022.03.28】
有期労働契約を更新されず雇止めされたとして、非常勤講師が地位確認を求めた。委嘱契約を約20年間更新されていた。東京地裁は、労働契約法の労働者に該当しないとして請求を退けた。授業内容の策定等の指揮命令を受けず、遅刻早退の賃金控除や保険料の徴収もなかったほか、大学の本来的業務に不可欠な労動力として組み込まれていなかったことも考慮している。
指揮命令なかった組織組込みも考慮
筆者:弁護士 岩本 充史
事案の概要
Xは、Yが設置する大学において非常勤講師の委嘱を受け、各講義の担当教官を務めていた。XとYとの間で締結していた期間を1年間とする有期の労働契約をYが令和2年4月1日以降更新しなかったことにつき、Xは、労契法19条により従前と同一の労働条件で労働契約が更新されたとみなされる旨を主張して、Yに対し、労働契約に基づき、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認等を求めた事案である。
判決のポイント
Xが労契法2条1項の「労働者」に該当するか否かは、…
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令和5年2月27日第3390号14面 掲載