東洋会解雇事件(平3・9・10和歌山地決) 一部に招集通知のないまま理事会決議した解雇の効力 ★
1993.02.15
【判決日:1991.09.10】
重要な瑕疵があり無効
筆者:弁護士 中町 誠(経営法曹会議)
事案の概要
Yは、昭和62年7月、養護老人ホームK園を開設し、以後K園を経営する社会福祉法人であり、Xは、同59年3月からYに雇用され、K園開設の準備に当たり、同園開設後は同園園長に就任し、園全体の管理、園職員主として生活指導員への指示、入園者のケアー全体の指導等を内容とする園長の職務に従事して来た者であるが、平成2年12月22日、YはXを解雇する旨の意思表示をした。
本件では、解雇の当否よりも、解雇の手続が最大の争点となった。すなわち、Yの定款には「Yの設置経営する施設の長は、理事会の議決を経て、理事長が任免する」旨規定され、Xの解雇についても理事会が開催された。しかし、右理事会に、理事6名のうち2名について招集通知がなされず、2名欠席のまま、X解雇の議決が可決されてしまったので、そのような解雇はXに対して果たして効力を有するのかが争われた。
決定のポイント
裁判所は、①理事会の開催に当たっては、理事全員に対して出席の機会が保障されなければならず、一部の理事に…
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平成5年2月15日第1949号10面 掲載