よみうり事件(平4・9・9名古屋地判) 「本人の同意」のない担当職務変更の扱いは…

1993.03.15 【判決日:1992.09.09】
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配転同意約款あれば無効

筆者:弁護士 加茂 善仁(経営法曹会議)

事案の概要

 Xは、Z新聞社において編集部整理課に配属され整理業務に従事していたが、報道部報道課に配転命令を受けたにも拘らず「整理は天職だ」としてこれを拒否し、裁判所で争っていた。

 その後、Z新聞社はY会社に営業の全部を譲渡した。右営業譲渡に際し、XはZ新聞社に退職届を提出し、退職金の支払いを受け、Y会社から、報道部報道課勤務とする旨の採用辞令を受領した。

 ところで、営業譲渡前のZ新聞社とXが所属した組合の間には、「配置転換は原則として一週間前に組合に通告、本人の同意をもって実施する。本人が不同意の場合、その不同意の理由を社が認めた場合は、同意しなかったことを理由として不利益扱いはしない」との労働協約が存在した。

 Xは、本件配転は右労働協約に違反し無効であるとして、営業譲渡を受けたY会社に対し訴訟引き受けを求め、Y会社に対し配転命令の無効確認を求めた。

判決のポイント

 ①配転とは、同一企業内における労働者の職種、職務内容、勤務場所のいずれか又はすべてを、長期にわたって変更するものである。

 労働契約においては…

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平成5年3月13日第1953号10面 掲載
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